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レッドの復讐行はクライマックスを迎える。遂にレッドはブルーとの最終決戦に挑むのである。共に旅をしてきた盟友や新たに加わった仲間たちの尊い犠牲を払いながらも…。最後の闘いの行方は、かってないほど激烈で悲しいものとなった。このような結末は、多くの読者は半ば予想しながらも必ずしも望んでいなかったものではなかろうか。生ぬるい凡作に堕したとしても、万事めでたしのハッピーエンドを心のどこかで期待していた人も多かったのではなかろうか。しかし、作者は妥協しなかった。今までのストーリー展開で伏線は十分すぎるほど引かれていたのである。「復讐」が「祝福」で迎えられることはありえなかったのだ。かくしてレッドの復讐譚は、マウント・ラッシュモアに多くの血と屍を残して幕を閉じる。だが、作者はこの後に終章を設けていたのである。そこで我々は知る。レッドたちの流した血は無駄ではなかったのだ。残った人々によって魂は継承され、大平原にウィシャは復興する。そして、レッドとイエローの友情は百年の時を越えて甦るのである。骨太なストーリー、鮮烈なアクション、思わず感情移入してしまう熱いキャラクター。7年という連載期間は我々読者がレッドと旅を共にした時間でもある。長期にわたって高いレベルのクオリティを維持したまま骨身を削って作品を完結させた作者に感謝と労いの言葉を送りたい。

bybookメルカード吉沢